I'm only sleeping

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十字街2

部屋の中はこじんまりとしていた。幾つかの棚があるが、そこの品物はなく、布団が敷きっぱなしなのが目立つ。
台所は使われた形跡がなく、リビングのゴミ箱には雑多にコンビニ弁当が押し込まれている。
激しいタイピング音と、銃が乱射される音がしてすぐに誰かがFPSをしてるとわかる。
その男は僕に目をくれることもなく、クソッとか、仕事しろよ役立たず、などと独り言をつぶやきながらモニターから目線ははずさない。
少女は男の側に行くと、ねぇ、と声をかけるが彼は見向きもしない。髪の毛は生え際まで綺麗に金色に染まっている。少女に比べても肌は白く、神経質そうに貧乏揺すりをしている。顔立ちからは年齢はわからない。20~30歳といったところだろうか、童顔なのだが、向きによっては時間が刻まれていると感じるときがある。
「仕方ない」そう少女は言うとディスプレイの電源を切る。
「ってめ、なにしてんだおら」
「人見つけてきたよ。他人じゃない人」
「今いいところだったのによー」
「安中はいつもいいところじゃない。それより挨拶して」
「ああ、俺は安中っていうんだ。ま、こんなところにきちまったのも何かの縁だ。よろしくな。ここは狭いけど一応空調も聞いてるし、食うものもある」
彼はこちらに見向きもせずにそういう。再びゲームに集中しているようだ。しかし一瞬のスキは大きく、彼のキャラクターは銃弾を浴び死亡する。

「で、あんたはまたゲームやってていいのそれで」
「そういやお前、自己紹介したか?」
「忘れてた。そんなのずいぶんしてないな。私は霧崎時雨、ここはそれなりに長いの。よろしくね。急に連れてきて悪かったけど、一度見逃しちゃうと大変なことになりそうで」
「別になりやしねえよ。引きこもりと大して変わりねえ、話し相手がいない以外は快適な場所だよ」
安中はそうちゃちゃを入れる。
「それはあなただからでしょ、下手すると餓死するかもしれないのに」
「まっ、そーかもしれないが」
「食べ物って、どうしてるんです」
俺が質問すると安中は、そこら辺から取ってきていると答える。
「じゃあ、そのコンビニ弁当も?」
「そうだ。誰も俺たちを気にしたりしないからな。そもそも買い物ができねえんだ、盗むしか無いだろ。自販機探すって手もあるけどな。とにかく一度外に出てみればいい。お前も飯が取ってこれるならそれが一番いい。ここの電気もいつまで持つかわからねえんだ」
男は立ち上がり、部屋着のまま立ち上がり、いっしょに行くか?と話しかけてくる。黙って頷き、彼に付いていくが、時雨は座ったままだ。
「時雨、こねえのか」
「私はもう疲れたから、しばらく休んでる」
「しゃーねーな、俺が病気したらどうするつもりだ」
「わたしはしないって決めてるから」
きっぱりと返す。