汗と涙とユークリッド
箱のなかで僕たちは生きるわけでしょう。幾何学の箱だ。
それを買ったり借りたり貸したり売ったりして生きる。死ぬときも綺麗な木の箱に入るんだろう。
死んだ時のことを心配しても仕方ないから、生きる時の話をしようか。
僕は外をずっと見てたんですよ、天気が良かったから、外を眺めていたんです。
誰も見てないんですよ。座ってることが不安なんです。歩く人は殆どいなくて、心配そうな顔をして一生懸命体を動かしている。
とても規則的なんです。だから見てるこっちも辛くなってくる。幾何学に彩られている。
金を愚直に使えば幾何学が増えるでしょう。小学生で習うようなやつです。
よくできてるんです、実際。だから僕は途方もなく退屈する。
退屈は良くないです。半分くらい死んだようなものです。
希望だとか目的だとか聞くでしょう。それの意味を考えたことはあんまりないみたいです。
口説くときに私は貴女に好意を抱いているので、あなたとお付き合いしたいとはあんまりならないでしょう。
一つの方法でしかないということだ。もっと微妙な力学を考える人が、別の物事になると考えないんだ。
血が流れるでしょう。地面にべっとりと着いている。これで人が転ぶんです。今日も転んでいた。
地面を眺めていても血に結構滑ってしまうものです。それで背中に張り付いてしまう。
呪いってわけじゃないんですよ、ちょっと見目が悪いってだけだ。
オカルトやら何やらってのはわかりやすいじゃないですか、あれに神秘的って名付ける人間の精神がわからんね、ロジックはみんな一緒じゃないか。
物事にはコードが合ってそっちだけ見ているふりをしなきゃいけない秘密の会なんかがあったりするんだろうか。
しぶとく墓穴を掘っているのになかなか帰ってくれないんだ。墓穴は幾何学じゃない。これはただの穴だよ。
何も出てきやしないさ。君も一緒に掘るんだ。