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I'm only sleeping

日記 雑記 思いつき ついったー https://twitter.com/1dgwa

スケッチ

 

最後に扉を開いたときには幸福とかがどうでもよくなっていた。ふかふかのベッドに寝転んで、明日の晩飯のことを考えていた。時間が経つのを忘れて、頭の中で兵隊たちを戦わせた。夜が何度も過ぎていくのに、僕はずっと同じ一日が繰り返しているのだと思っていた。雨がやまないからだ。嘘をついて日がな誰かの庇護下に入って、ぬくぬくとしていた。ダンボールと毛布で秘密基地を作った。自分が見えないことが、人から見えないことだと思っていた。欲しい物は何と言われた。僕は全てに満足していた。足りないものを何とかして埋めようとすること自体が喜びだった。幸福な世界に広告は閉めだされていた。晴れた日に、海沿いの街で、温かい風が吹いていた。狭い路地に単線電車が走っていて、それは路面電車にもなり、海辺を通る。簡単に飛び越えられそうなブロック塀の脇で、赤ん坊を抱えた女性がその母親らしき人と、和気あいあいと話していた。近所の誰かの幸福な噂話だった。自転車で急な坂道を超えると、海が開けて、爽やかな潮風が顔の汗を冷やした。