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I'm only sleeping

日記 雑記 思いつき ついったー https://twitter.com/1dgwa

境界線上のテーマパーク

大理石をかたどって境界線上のテーマパークに遊びにいくんだ。

安純は白い階段の続きを教えてくれたが、いかにも自信なさげな響きだった。夢を見るくらいなら果ての国に落ちていったほうがずっといいって、ありふれた地方都市で傀儡を掘って暮らす僕に発破をかけてくれたのは一体誰だったんだろうか。

国道沿いはどこまでも拡張を続けて行った。その単調さは大地の血脈を侵していく。貼りつけた笑顔が偏在してる。いったい誰のための笑顔なんだろうか。白い階段は国道をずっとずっと北に歩いていけば見つかるらしい。灰色の粉を静脈に注がなくてもわかることなのにねって、墓石が打ち捨てられた国道2014号線沿いの廃墟で色をなくした女が懐かしいものを思い出したように言っていたんだ。

だからってそれの続きがあるわけじゃない。

死が最後になるんだって、辛い冒険の先の救いは、満足して死ねる権利だと。老いにも病にも煩わされずに至福に満たされて最後を迎えられるんだって。

白い階段は国道沿いに唐突に現れる。自動拡張していく国道と都市に人間はとっくについていけなくなっていて、だから最後は誰もいない街を延々と歩き続けることになる。そこでは植物と機械が争っていて、いままでもそうだったとおり機械が勝利をおさめる。僕らはその光景をみたくないから文明を忘れてしまったのだけど、最後の救いという奴はいつだって打ち捨てたものの最奥に存在するのだ。

 

白い階段で人は労働者になることができる。ノミとヤスリと彫刻刀で大理石を延々と削っていくんだ。それが境界線上のテーマパークへ至る唯一の道になる。労働者は昔は金、というものを貰っていたらしいのだけど、現代の唯一の労働者は寿命を貰う。一月働けば一月寿命が貰える。働き続ける限り永遠の生を手に入れることができるのだ。優秀な労働者は老化を止めることも、新しい皮膚や臓器を買うこともできる。細胞から老廃物を取り除いて体中をリフレッシュしたっていい。そうしているうちに永遠の楽園に辿りつけるってしくみなんだ。作業はゆっくりやったって問題ない。結局のところ永遠に生きられるのだし、境界線上のテーマパークはとても素晴らしい場所なのだから。