I'm only sleeping

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脳が膿んでいる

また、だ。

俺が住んでいるのは胎内で、醜い皺があちこちによっている。空でさえもそうだ。吐き気を催す紫色のグラデーションに彩られている。人々の顔のバランスは歪んでいる。

 

目の前には女がいる。見開いたままの目。瞳孔は完全に開いているが俺はそれに欲情しない。この吐き気を欲情の正体だとするのでなければ。胸部から臀部にかけての曲線は爛れている。ここではいつでも雨が降っている。

ゲスな奴に悩みを話せばそいつはこう言うだろう。誰もが裸に見えるだって、それは素敵な王国じゃないか…。その裸とやらは爛れた紫の皮膚と虚ろにたわんだ青い太陽の光で遮られているなんて想像もしないだろう。

 

この表情は、笑顔だ。女は俺に微笑みかけている。目が飛び出そうになり、鼻が膨らみ、破裂して液体が飛び散る。そしてその飛び散った液体は消えないまま、重力に逆らって残る。俺が識別できる数少ない表情の一つだ。

 

こいつが幻覚だって、俺はわかってる。そうじゃなきゃ発狂しそうになる。もしこれが現実で、あっちは別の何かだって言うんなら、俺はとっくに生きるのをやめてるだろう。

 

誰にも話したことはない。こいつが最近は頻繁に出てくる。昔のことはもう覚えていない。そういう夢をみたことはあるような気がするが、さっきみた夢だって忘れちまうんだ。過去と繋げようという絶望的な努力に過ぎない。

 

俺はぎこちなく微笑み返す。調子外れの声でおはようって、彼女は言う。

俺は彼女が誰なのかをしらない。

 

 

 

 

この景色がみえるようになってから眠れなくなった。どぎつい光景は暗闇もアイマスクもおかまいなしだった。そいつはただそこにあって、ただ異なったふうに現実をフィルターする。医者には最近眠れなくなったとだけ言った。

 

俺はこれが幻覚だってわかった。もうひとつの現実だなんて解釈は馬鹿げている。まるで精神分析か何かのように、歪んだ具象が深層心理や集合的無意識を表すとは思えない。そこに見えるのはただただ混沌だ。

もっともこの世界がふざけた代物だということを暗示しているのかもしれない。ありのまま見ればわかるものを何故暗示しなければならないのか、理解に苦しむが。

 

話し声が元に戻る。目には健康的な光が戻り、溢れるような無彩色!空は灰色で、鈍色の教室に重たい色の雨が降り注いでいる。

 

いつ、こうなったのかを思い出すことは出来ない。中学の時だったと思う。はじめは一人の時だけだった。コントロールすることもできた。慣れるに従って、幻覚はいつでも気まぐれに現れるようになった。

 

そこには本当の世界があればいいと思う。もしも化け物がいて、そいつが俺をいじめているのだとしたら、納得が行く。だがここにあるのは全くの理由のない出来事だ。そのうち世界はすべて極彩色に塗りつぶされてしまうのだろう。そしてその中で俺は生きる。そいつを絵にすればいくらか金になるのだろうか。金になったとして、使うべき場所をこの世界は与えてくれるのだろうか。