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I'm only sleeping

日記 雑記 思いつき ついったー https://twitter.com/1dgwa

disorder

工業団地で俺は廃油にまみれながら男を待ってる。そいつは俺にふつうを与えてくれるらしい。感情を失った俺にめいっぱいのふつうを詰め込んで、まともにしてくれるらしい。金属音で耳はいかれちまった。感情もにたようなもんだ。きりきりと音を立てるんだ、辛いことが、つまり辛いと思っていたことだとか、悲しいとか、人生を終わらせたいだとか、いやそれはないな、あれは金持ちのためのもので、はじめからそんなものはなかったが、つまりはそういうものが奏でる調子外れの不快な音に俺はうんざりしちまってさ、じゃあ何も聞こえなくなればいいっておもった。だけど魂は残ってる。感情なくなったが、俺は感情がなくなったことを知ってる。感知する装置はまだのこってる。それにさっき言ったとおり、俺には死にたいなんて気持ちはこれっぽっちもないのさ。ドラッグがあれば喜んでやるだろうし、酒はもう友達さ・・・随分と長い。でもその男は、つれてってくれるんだ。だから待ってる。別に存在しないってわけじゃないんだぜ、隣町の立ち飲み屋で会った仲だ。随分と気のいい男でね、俺は表情を変えられないんだが、それでも随分と話した。くだらない打ち明け話なんかもしてしまってね、俺の持ち物なんて、それくらいしかないからな、もちろんそれじゃたりないから、水増ししたさ、でもあいつ、驚きもしないんだな、随分と素直なのか、そういうのになれてるのか知らないんだけどさ、とにかくこのコンクリートでできた穴ぼこばかりの十階で、おれは奴が来るのを待ってるのさ、精一杯のふつうが注射されるのを待ちわびているわけだ。大雨が降っている。隣のビルでは工事が進んでいる。むき出しの鉄骨がクレーンの積み荷とぶつかり、甲高い音をたてる。傷。