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I'm only sleeping

日記 雑記 思いつき ついったー https://twitter.com/1dgwa

マクニール 疫病と世界史 上 とりあえずのメモ

上巻を読み終わったから全体の流れを書いていく。

 

この本が扱うのは、今まで過小評価されていた天然痘結核、ペストのような疫病が歴史に与える影響だ。

そもそも人類は狩猟をしていたときはさほど多くのウイルス・細菌に侵されることはなかった。農耕・定住を始め、人口が稠密になり、他国との公益を行っていくごとに病気はその範囲を広げ、猛威をふるうようになった。

 

そして、その病気が文明に与える影響、というものはそれまで軽んじられてきた。その理由は、歴史を人が作るという観点に比べ、疫病という不確定な要素によって人類の歩みが多大な影響を受けてきたという説は、歴史家があまり好まない。また、歴史的な病気の資料はばらばらで、その当時の病気の説明に依存していたり、描写が不十分だったりして、見当をつけることが難しい。そんな理由があって歴史に対する疫病の影響は軽視されがちだったけど、そうではないということを示していく。

 

ただ、その順番は必ずしも時代の順番に沿ってはいない。それぞれの国を行ったり来たりして、統一的に時代ごとに進んでいくわけではない。

というのは、疫病の発生というのは、人口の増大や、文化間の交流に依存するからだ。

そして交流が進むごとにウイルス・細菌は文化の違いにかかわらず、均一化していく。そして、ユーラシア大陸ではそれが早くに起こったが、南北アメリカではそれは1200年まで起こらなかった。そのおかげで、アメリカ先住民は、スペインなどの侵略者に極めて脆弱だった。スペインが原始的な銃を持ち、優れた文化を持ったとしても、それがすぐさま原住民を屈服させたとは考えづらい。なぜなら侵略者は600人足らずだったし、基本的に人間は自分たちの文化を重要視し、そこから離れたがらないものだから。だけどそこに疫病という説明を加えたら、その屈服は容易に説明できる。

侵略者が出現し、疫病が広まり、それが自分たちのみを殺し、侵略者を誰も傷つけなかったとしたら・・・。

 

疫病の最も大きな影響と言えるのはそこだろう。つまり、ヨーロッパからアメリカへの入植だ。なぜそれがそこまでうまくいったのかということだ。

 

他にも、インドのカースト制度には不可触民というのが存在し、彼らと関わった際の身の清め方などの、厳しい規則がある。そして不可触民は基本的に、異なる民族であった。それは疫病の感染を防ぐ、という意味があったのではないかとい仮説や、中国とヨーロッパの疫病の広がり方、また日本とイギリスの疫病が広がり方が似通っていることなどの説明がある。

 

この本は結局何を言いたいのか、というのは歴史における疫病の重要性を示す、ということなんだろう。

一言で言い尽くせてしまうのだけど、それをどうやって示すのかというところは面白い。